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Album

 2004
奄美諸島への旅(7〜8月)

・名瀬市にて
・請島にて
・与路島にて
・加計呂麻島にて
・国直にて
・再び名瀬市にて
・旅を終えて

奄美諸島への旅(2004年7〜8月)

名瀬市にて(3)

■金作原原生林

 7月25日(日)は、観光ネットワーク奄美が主催している、名瀬市近くに残る原生林・金作原(きんさくばる)探検コースに参加した。天気は曇りだが、昨日よりも少し気温は高い。朝9時ごろにワゴン車で迎えにきた車には、すでに6人ほど乗っている。そのワゴン車で名瀬市から約40分。国道からわき道にそれ、細い山道になり、やがては未舗装のでこぼこ道になる。そして、うっそうとした金作原の森に到着した。車を降りると、ひんやりと涼しい空気が肌に触れる。金作原は、亜熱帯の森特有のヒカゲヘゴが群生する森で、映画ゴジラの撮影場所にもなった場所だ。見上げるとシダ類特有の葉が広がり、太陽をさえぎる。案内をしてくれたMさんは、亜熱帯の森の営みについて詳しく話してくれた。

■台風

 この島には毎年、大きな台風が来る。本州を襲う台風は、多くの場合、すでに衰えた状態でやってくるのだが、南の島を襲う台風は高い海水温によってエネルギーが供給され、猛烈な風を伴って襲ってくる。森の木は、より多くの陽の光を求めて枝を伸ばそうとする。しかし山から一本だけ飛び出そうとした木は、台風の風によって刈り取られ、その結果、森の高さは一定に保たれる。地面には台風によって倒された木が積み重なるのだが、それらの倒れた木の枝が今度は幹になって、新たな根を生やし、次なる森を形成する。気温が高く、降水量の多いこの島は、生命の新陳代謝が実に早い。台風も、この島の息吹にとって欠かせない存在なのかもしれない。

■奄美の自然を脅かすもの

 また、この島には有名な特別天然記念物アマミノクロウサギが生息している。このウサギは、私たちが知る普通のウサギと比べて耳も短く、足も遅いらしいのだが、それはこの島には天敵が存在しなかったことを示している。警戒したり逃げる必要がある敵が存在しなかったから、耳や足が発達しなかったのだろう。自然豊かな奄美は、生きるものにとって楽園だったのかもしれない。その楽園の存在を最も脅かしているのは、他ならぬ人間なのかもしれない。かつては毒蛇のハブという存在が、人が森に入ることを拒んできた。しかし、いま、ブルドーザーによる開発の手は、奄美の森を大きく脅かす存在になってきている。

■やっちゃばにて

 さて、金作原の森では、さすがにゴジラが出なかったが、途中ではキノボリトカゲに遭遇し、森の中を約1時間かけて散策を楽しんだ。午後は名瀬市内に戻り、ふと見つけたフルーツのお店「やっちゃば」に寄った。奄美に来る前に、インターネット・ショップで見かけたお店である。店に入ると、ちょうどリュックサックを背負った女性が店員さんと親しげに話をしながら店の奥に入っていくところだった。何となく話の雰囲気からジャーナリストっぽい感じの人だなと思ったら、やっぱり・・・。以前に所用でメールを頂いたフリーライターの山川サラさんがちょうど奄美に到着したところだった。もちろん初対面。それにしても、東京圏に住んでいる人と、こんな場所で会うというのは驚きである。そんな訳で、サイン入りの新刊本「ムンユスィ」を買い、長く休みを取った職場には、今が旬の甘酸っぱいパッションフルーツを送った。

 その後、市内を散策。名瀬市内の飲食店は、日曜日は休みの店が多く、なかなか食事が出来る店がない。やっとのことでティダモール内にある「新穂花」で鹿児島の豚を使ったとんかつを食べるが、これはふつうの味。夜は宿のオススメで、近くの居酒屋「炭や」で焼き鳥と琉球イノシシの焼き物、オリオンビールを注文。宿に帰って、宿のご主人、同宿者と黒糖焼酎を飲みながら話をしながら夜はふけていった。


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