Album

 2004
OLYMPUS E-300試写

Page1
・ファーストインプレッション
・実売8万円台
・SSWF
・表示パネル

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・ファインダー
・フォーカス・シャッター
・操作性
・画質

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・比較テスト(解像力)
・比較テスト(空の発色)

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・ポートレート
・夜景

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・増感+40-150mm

OLYMPUS E-300試写(2004年12月)


■ファインダー

 ファインダーは一眼レフの生命線である。その昔、たぶん20年位前までの銀塩式一眼レフは、交換式ファインダーがプロ機のシンボルだった。その後、交換式ファインダーが廃れ、視野率100%がプロ機のシンボルとされていた。E-1は視野率100%なので、その意味ではプロ機の条件を整えているのだが、コンピュータでトリミングが自在になった現在、視野率100%というのはかつてほど大きな意味を持たなくなってしまったのかもしれない。このE-300の視野率は94%。わずか6%の差というなかれ。この差はかなり大きい。この94%というのはタテ横それぞれの視野だから、ファインダーには実際に写る画面の9割以下の面積・・・正確には88.36%しか見えていない計算になる。

 コンパクト・デジカメの場合、多くの人は液晶モニターを見て撮影する。その場合、視野率は100%だ。しかし光学ファインダーの一眼レフの場合、視野率を100%にするのはコスト的にも技術的にも難しい。他社のエントリークラスの一眼レフも、EOS Kiss Digitalは95%、ファインダーでは定評のあるPentax istDsも95%、NikonのD70も95%である。デジタルカメラを購入する際、ファインダーの視野率はあまり重視されているとはいいがたいが、カメラの持っている画素数をすべて生かしきるためにも視野率は大変重要な要素なのだ。


 さらにファインダーの見え具合だが、ペンタプリズムを廃したことで、明るさなどが低下するのではないかと危惧する向きがあった。たしかにE-1のファインダーのほうが若干明るいし、ピント合わせもしやすいのだが、E-300のファインダーも決して悪くない。私はほとんどカメラのAF任せで写しているので、ファインダーに明るさに関する不満はない。しかしファインダーの倍率は、E-1同様、何とかならないものか。この点では、Pentax istDsの素晴らしさが際立っている。


■フォーカス・シャッター

 ボタンがあると押したくなるのはなぜだろう。バスやエレベーターなので子供たちが先を競って乗降ボタンを押しているのをよく見るが、あれは一種の本能なのかと思うほどである。カメラ店の店頭に興味を引いたカメラがあれば、とりあえずシャッターを押してみたくなるのは心情である。家に持ち帰って早速、開封。そしてE-300を構え、ファインダーを覗き、部屋の中で最初のシャッターを押してみる。人差し指がシャッターボタンに軽く触れると、シャッターが落ちる。シャッターボタンのストロークは、E-1と比べて浅く、軽いタッチでシャッターが切れる。フォーカスは素早く、カシューンという音が響く。

 個人的にはシャッターは完全無音が理想だが、一眼レフは構造上、シャッター音はある程度避けられない。私はあまりシャッターの音質にはこだわらない方だが、EOS 20Dのシャッター音だけはダメだ。あの安っぽいパコパコした音は、写真を撮る意欲を削いでしまう。istDのシャッター音を評価する向きは多いけど、個人的にはあの金属的で大きなシャッター音は好みではない。その意味で、E-1のシャッター音は良い。控えめで静かなシャッター音はその場の雰囲気を壊さない。E-300は、E-1と比較すると金属的で大きな音がする。しかしCanonのように安っぽい音ではない。

 フォーカスは、同一価格帯のistDsよりも明らかに速い。E-1と同等のフォーカスを流用していると思われるが、もしそうだとしたらフォーカスの精度も極めて高いはずである(ただし暗所では弱いかもしれない)。そしてE-1にはなかった。合焦時のスーパーインポーズが表示されるようになった。私はどうせ中央のフォーカスエリアしか使わないのでインポーズの有無はどうでも良いのだが、E-1はこれもマイナスポイントとされたのだそうだ。E-300は、真っ赤な丸いLEDで、でっかく合焦がお知らせされる。この表示は、ちょっと安っぽいが、実用上はまったく問題はないだろう。


■操作性

 E-300の操作性は、E-1のそれと比較して大きく変わっている。個人的にはE-1の操作性に慣れてきたところだけに、E-300の操作体系の相違はちょっと残念だが、世間一般ではE-1の操作性に対する評判は今ひとつだったらしく、このあたりは好みとしか言いようがない。

 E-1よりも優れているのは、モニターの視認性が向上し、過度に白飛びしがちだったE-1のモニターよりも信頼性が増している点だ。あとモニターで撮影した画像もを10倍(E-1は4倍まで)まで拡大できるし、そのレスポンスも早い。この拡大は、JPEGだけでなくRAWも可能な点はE-1同様、高く評価して良い。そしてタテで撮影した画像は自動的に縦位置で記録されるようになったのはとても便利だ。あと、忘れてはならないのが、ストロボが内蔵された点である。まだ実際には使っていないが、わざわざ外付けストロボを持っていく必要は少なくなった。旅に出るときには荷物を減らすことができる。

 反面、コストダウンのために、操作性が犠牲になっている点もある。最も大きな点は、防塵防滴が省かれたこととだ。しかし、この価格帯ではやむを得ない。そういうプロフェッショナル仕様を追い求めるクラスではないので、これはE-1の後継機に期待するべきことだろう。

 次いで、ダイヤルが2つから1つになってしまった点も操作性に大きな影響がある。マニュアル撮影時にはそれぞれのダイヤルに絞りとシャッタースピードを割り振れたのだが、このE-300の場合は「+−」ボタンで切り替えないといけない。これでは実際の撮影時に、スムーズにマニュアル露出で撮影するのは困難だろう。ただし、実際にこのクラスのデジタル一眼レフで、マニュアル撮影する人がどれくらいの割合でいるだろうか?そう考えると、ダイヤルをひとつにした割り切りもやむを得ないだろう。

 あと露出補正などの操作は、従来の「ボタンを押しながら、ダイヤルを回す」という操作から、「ボタンをを押してから、ダイヤルを回す」という操作に変わった。ボタンから手を離してから、ダイヤルを回すのである。この操作性は好き嫌いがあるだろうけど、この操作性もダイヤルがひとつに削減された余波と言えるだろう。あと、ワンタッチ・ホワイトバランスと、ドライブの単写と連写の切り替えがメニューの中に入ってしまったのが、個人的にはちょっと残念である。

 連写性能は、バッファがE-1の半分の64MBに削減されて、大幅に低下してしまった。RAWやJPEG-SHQ(1/2.7圧縮)で、わずか4コマである。じっくりと風景を写すには十分だが、スポーツやポートレートの撮影会ではお話にならない性能である。ただしメディアへの書き込み速度はE-1と比較して大幅に向上しており、JPEG-HQだと連写は8コマ可能(マイクロドライブ4GBを使用した場合)で、さらにバッファの開放が早いので数秒待てばまたすぐに撮影が可能になる。実際に8コマ撮影した後、4〜5秒程度空ければ、またすぐに8コマ撮影が可能になるのだ。HQモードの画質で満足できるのであれば、ほとんどのシーンで連写性能への不満は感じないだろう。撮影間隔は2.5コマ/秒。個人的には十分のスピードだ。


■画質

 さて、いよいよ肝心の画質である。前にも書いたが、私はモニターで等倍に拡大して画質の良し悪しがわかるとは思っていない。モニターで見ただけで画像の良し悪しを断言している人を見ると、写真が好きなんじゃなくて、単なるカタログマニアなんだなと思ってしまう。

 実際、E-1の出力する画像は、モニターで等倍で見ると、ピントが合っているのかどうか疑わしいくらいの画像に見える。私も最初、びっくりして「えっ?」と思ったくらいだが、実際にプリンターから出力してその画質の良さに驚いた。確かに、画総数は今となっては少ない500万画素。解像力の限界は感じさせるのだが、画像のエッジが滑らかで、とても立体感のある絵に仕上がるのである。

 さて、E-300は、800万画素。E-1と同じくコダックのフルフレーム方CCDを採用し、なおかつ1.6倍の画素数を持っている。ひとつひとつの画素が小さくなることによる弊害も考えられないことはないが、画像処理技術は日々進歩しており、画素数が増えることによるメリットのほうが大きいだろう。実際に撮影してみた画像を見ると、E-1とは明確な解像度の差がある。モニター上で等倍にしてみた画像は、E-1と比べて輪郭がはっきりしていて、一般ウケする絵作りを志向しているように感じられるが、決してカリカリに硬い絵ではないのは好ましい。

 まだまだ撮影した写真は少ないので、画質に関する評価は決定的なことはいえないが、心配されていたダイナミックレンジでE-1と大きな差があるとは感じていない。むしろ、私のように風景をメインで考えていて、広角レンズを多用する人だったらE-300を使ったほうが好結果を得られるのではないかと思う。とりあえず、この数日間で撮影した画像を掲載するので判断してほしい。

 この値段で、この画質のカメラが手に入るというのは、驚異的なコストパフォーマンスである。


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