Album

 2004
OLYMPUS E-300試写

Page1
・ファーストインプレッション
・実売8万円台
・SSWF
・表示パネル

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・ファインダー
・フォーカス・シャッター
・操作性
・画質

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・比較テスト(解像力)
・比較テスト(空の発色)

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・ポートレート
・夜景

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・増感+40-150mm
OLYMPUS E-300試写(2004年12月)


■ファースト・インプレッション

 「なに、これ?」・・・たぶん、多くの人がこのカメラのデザインを見たときに思ったに違いない。私が最初にこのデザインを見たのは、海外の掲示板でリークされた映像を見たときである。一眼レフのシンボルであるペンタプリズムはないデザインを称して「PEN-FTみたい」という人もいたが、私はそうは思わなかった。写真で見ただけだったが」どう見てもPEN-FTよりもデカイではないか。私はあまりデザインは気にしないほうだけど、「こんなデザインで売れるのかなぁ?」と、余計な心配をしてしまった。

 その後、オリンパスから正式に発表となり、800万画素、ダストリダクション付というエントリークラスの一眼レフの中では魅力的なスペックを装備することがわかり、さらにレンズ付で10万円以下という前代未聞の低価格で発売されることがわかると、俄然、注目度が高まった。スペックは予想された範囲だが、値段は大方の予想よりも2割程度は安かったのではないだろうか。レンズ付セットは12月発売、ボディのみは来春発売という、E-1ユーザーを無視したような発売時期も、この価格設定の前には黙るしかなかった。

 私もE-300ボディのみの発売が来春に遅れることには、当初は疑問と怒りを感じたものだが、ボディだけで89,800円、レンズ付で99,800円なのだ。レンズが1万円で付いてくるというバーゲンプライスの前に、ある程度納得はしたが、この値段が出てきたのは相当に遅く、オリンパスはユーザーに対する情報の出し方には大いに問題があるように感じた。


■実売8万円台

 私はデジタルカメラなどを予約して買ったことはない。あるパソコンを発売日に買ったことはあるが、基本的にエレクトロニクス製品を予約したことはない。しかし、このE-300だけは予約しておこうと思った。まぁ、メーカーの予約キャンペーンに乗せられたのかもしれないが、近くの数店で価格交渉をした結果、レンズ付セットが81,000円程度になった。実際にはクレジットカードで買ったので、もう少し高くなってしまったけど、それでも8万円台前半。いろいろなコストダウンが図られているのだろうけど、デジタル一眼レフがこんな値段に下がるということを、誰が予想しただろうか。もちろん、いつかは10万円を切るだろうと思っていたけれど、それはまだ先のことだと思っていたのである。デジタル機器のコストダウンのスピードの速さは、コンピュータの世界で十二分に味わってきたはずなのだが、改めてその凄さに驚いた。

 そして発売日の前日、予約してあったカメラ屋に行ってみると、もうすでに入荷していた。展示機を触らせてもらうと、やっぱり軽い。決してコンパクトとはいえないのだが、E-1と比較して軽さは実感できるはずだ。持ったときの質感はE-1と比較できる水準にはないが、安っぽさはない。数万円高いD70やistDsと比較しても、決して劣ることはない質感は立派である。シャッターボタンを押してみる。E-1よりも音は大きく、高い音が響くが、決して安っぽい音ではない。あのEOS 20Dのパコパコした安っぽい音よりもはるかに高級なカメラという感じがする。

 写真で見ると「変なデザインだなぁ」と思っていたのだが、実際に見てみると意外と悪くない。決してカッコ良くはないが、こういうデザインもありじゃないかと思える。ただ最初はファインダーの位置に戸惑った。普通、一眼レフはレンズの直線的な延長線上にファインダーがある。私は当然、その位置にファインダーがあると思って、反射的にその位置を覗こうと思うと、「あれっ」と思った。その「あるべき位置」にファインダーはないのだ。実際のファインダーは、思っている位置よりも左側にある。たぶん、一眼レフ暦が長いユーザーだったら、最初はちょっと戸惑うに違いない。


■SSWF

 予約してあったカメラを引き取り、早速、家で箱を開けてみた。レンズには用はないので、そのまま新品の状態で箱の中にキープ。付属のバッテリはあらかじめある程度の充電がしてあって、そのままE-300の中に入れる。電源スイッチを入れると、上部パネルのSSWFと書かれたLEDが青く点滅する。オリンパスの誇るダストリダクションの動作を知らせるメッセージだ。シャッター幕の擦れやレンズ交換時に混入するダストは、デジタル一眼レフの大きな問題だが、この問題を実質的な意味で解決しているのはオリンパスだけである。このSSWF(スーパー・ソニック・ウェーヴ・フィルター)はE-1にも搭載されていたが、この機能の恩恵は他の一眼レフでダスト問題に悩まされたユーザーにしか実感できないのが、オリンパスのセールス上の悩みの種だったろう。SSWFは画期的な機能なのだが、この機能の素晴らしさは、なかなか実感しにくいのである。

 そんなこともあって、E-300にはSSWFが動作しているということをアピールするために、動作を知らせる青いLEDがついた。コストダウンをするのであればこんなLEDは不要なのだが、この機能はオリンパスの一眼レフの最大のアピール・ポイントなのだ。このLEDからは、E-1の市場戦略で失敗したオリンパスの並々ならぬ決意が込められているような気がする。


■表示パネル

 さて、電源を入れると背面の液晶に各種の情報が表示される。E-1はカメラ上部の液晶にシャッタースピード、絞り、感度などの基本的な情報が表示されるのに対し、E-300は背面のモニターが兼ねている。ここは明らかにコストダウンを図った点だ。私はE-1のようにモニターと表示パネルは分割したほうがベターだとは思うが、統合したから見にくいとか、ダメだとは思わない。ただ、背面モニターは電力消費量が大きそうな気がして、バッテリの持ちに影響がありそうな気がする。実際にE-1との比較はしたことはないのだが、はたしてどうなのだろうか。

 ファインダーを覗いてみよう。撮影情報はファインダー下部に表示されるE-1に対し、E-300はファインダー右側に表示される。人間の視野を考えると横長画面の場合は画面下に表示されるほうが合理的だろうと思うが、E-300は右側にシャッタースピードや絞りが表示されるために、意識的に視野を右側に向けないと情報の確認ができない。どうしてこんな位置になってしまったのか。とくに縦位置に構えることの多い私にとっては、表示がさらに見にくくなる。人間の視野は上下に狭いからだ。

 このように情報の表示位置が右側になってしまったのは、サイドスイングミラーを搭載し、ペンタプリズムを廃したことと関係があるのかもしれないが、その真偽は未確認である。右側に表示があるから絶対のダメだ、というものでもないが、この点はE-300のちょっとしたマイナスポイントに数えても良いだろう。


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